君と笑えるなら・・・

5 ネコ

 

コムイさんが作った大浴場。

今日は僕以外誰もいないようだった。

「やったねぇ〜。今日はみんな忙しいんだなぁ〜。」

独り言を言いながらお湯に手を付けた。

「うん。今日はコムイさんの入浴剤入っていないみたいだな。」

弾む気持ちを抑えながら、ゆっくりとお湯に身体を沈めていく。

 

「ふぁ〜〜。気持ち良いなぁ〜。」

今日は少し独り言が激しいようだった。

アレンが気づかないうちに、無言のまま傍にいる神田の存在が大きくなっていた。

アレンはそばにあった岩に背をもたげた。

 

「う・・・のぼせてきたかも・・・」

 

・・・・・・バシャッ

「うん?」

誰も居ないはずの大浴場の奥から音がした。

アレンは少しのぼせた身体を湯から出し、音の方へと向かっていった。

 

「にゃぁ〜。」と鳴きながら、一匹のネコが飛び出してきた。

「えっ?お前入ってたのかよ!」

とネコ相手にアレンは会話をし始めた。

 

 

意外とネコも話相手になるようだ。

ネコを見つけてからアレンはずっと話をし続けていた。

 

・・・・・・ガラガラガラ

大浴場の扉が開けられ、人が入ってきたようだ。

アレンはちょうど背を向けていた。

誰かなぁ〜。と思いながら振り向く。

 

タオルを頭に乗せ、ネコを抱いて湯に入っているアレンの目に入ったものは、

扉を開けて入ってきたのは任務を終えた神田だった。

なぜだか分からないが、とっさにアレンはネコで身体を隠した。

そのまま、二人は固まり、時間はなかなか動かなかった。