愛でた花、咲き誇れ

 

8 交わす言葉さえ

 

暗黙の了解…

君がいる。それだけで、幸せな気分になれる。

「ただいま」というその人が愛しくてたまらない。

会えなかったその分だけの反動なのかもしれない。

 

そんなのどうでもよかった。

二人は何も言わず、抱き合っていた。

暖かい。

嘘ではない。

ここに君がいるんだ。

 

 

長い間、二人はそのまま抱き合っていた。

それ以上何もいらない。

こいつさえいれば……そんな気持ちが強かった。

 

ラビが先に顔を上げ、神田の顔を撫でた。

とても愛おしそうなその手。

その手に神田は優しく口付けをしラビを見た。

 

潤んだ瞳が澄んでいる。

瞬きをすると頬を伝う雫。

神田は瞼に口付けをし、雫に舌を這わす。

 

静かな時間、なかなか離れない身体。

いつまでも二人は抱き合っていた。

 

 

愛しいと人は感じた時、もう忘れることは出来ない。

どんなに離れていたって、身体は求め続ける。

 

「愛している…これからもずっと…」