愛でた花、咲き誇れ

 

       3 余興

 

 

食堂では、いつものようにアレンが物凄い勢いで食べていた。

その姿を一瞥し、神田は席に着いた。

ラビは隣に座ろうとしたがやめ、向かいに座った。

 

本当に今日のラビはらしくない…

神田は胸騒ぎを感じていた。

何もなければ良い。

いつもの調子で居てくれさえすれば、俺は何も言うまい。

神田にしては珍しくぐるぐると疑問が巡っていた。

 

 

「俺…明日から当分居ないから。」

 

 

何の余興もなく告げた言葉は神田の心の中に響いた。

明日から当分…

どのくらいの間だろう…

そうやってまた自分の頭の中で考えてしまっている自分が信じられなかった。

 

 

「フンッ。だからなんだ。」

 

 

考えとは裏腹な言葉。

それは思いも寄らない事件の幕開けとなるのだった。

 

 

「ラビ!!!どうしたんですか?そんな暗い顔して!」

アレンが寄ってきてラビの肩に触れた。

 

その手が少し煩わしく見えてしまった。

 

「なんでもねぇよ。」

本人でもないのに神田が返事をする。

 

「はっ?神田に聞いてませんけど?」

アレンは神田の存在に今気づいたかのように接した。

 

神田とアレンが俺の前で言い合いをしている。

いつもなら笑いながら止めていた。

それが今できない…

涙が止まらない…

助けて欲しい…

 

 

 

ラビの胸に闇が広がり

落ちていくだけだと思えた……