君と笑えるなら

 

僕の右手

 

初任務でまた距離が開いた。

AKUMAとは疑っていないことは分かった。

その代わり、奥底から僕のことが嫌いみたいだ。

 

 

 

 

「ふぅ〜。」そう言いながら、アレンは自室の扉を開けた。

 

なぜか神田が僕の部屋の前で構えている。

ここの所ずっとだ……

神田は別に何も言わず、ただ僕の後ろについて来る。

 

「何なんですか?」少し、棘のある声で言ってみた。

 

「別に…」そう一言。

僕は一つ溜息を漏らし、そのまま食堂へ向かった。

 

 

今、僕の横には蕎麦を食べる神田がいる。

僕の前にはたくさんの料理。

至福の時に、何で神田が……

 

はぁ〜また溜息が漏れてしまった。

気にしないようにしよう。

そう言い聞かせて、アレンは長テーブルいっぱいに広げられていた料理を平らげた。

 

その後、片付け終えアレンは自室に戻った。

また、後ろをついて来る。

 

僕はムシしながら、部屋の扉を開けた。

 

――えっ?!

 

僕は少し斜めを凝視した。

僕の手に手が巻きついている。

 

その手の主を見ると……神田だ。

力が入った手。

 

「痛っ!!」

 

手を離した神田はそのまま何も言わず、行ってしまった。

僕の右手、手首は少し赤くなった。

 

擦ってみる。

段々、痕が出てきた。

 

まるで、ここには俺がいるんだと、存在を証明するかのように……