君と笑えるなら…

16 忘れられない

 

 

 

「…つっ」

ユウはそういうと動かなくなってしまった。

「あ…だぃ…じょうぶ…ですか?」

アレンは戸惑いながら、ユウの様子を伺った。

ユウの左頬を叩いた右手はジンと熱を持っていた。

その熱が、罪悪感と戸惑いを一層深くする。

「あの…ごめ…ん…なさい…」

いつまで経っても顔を上げないユウの顔を覗き見た。

 

その時…

 

僕の唇にユウは入り込んできた。

「んぅ!!…ぅ…んぁ…うぅ…」

いつまで経っても離れない唇。

息をさせる気は無いらしいユウは、僕の中を好き勝手に暴れた。

 

 

どれくらい経ったのだろう。

本当はそんなに経ってない。

だが、僕の思考回路を停止させるには充分だった。

脳に酸素がいっていない。

目が虚ろになっている。

 

――ゴクゴクッ

 

無意識に、どちらとも分からない唾液を喉を鳴らしながら呑んでいる。

やっとのことで離された唇の間には、離れたくないという現われなのか、銀色の糸が僕たちを繋いだ。

 

「…はぁ、はぁ」

まだまだ息の荒い僕に向かってユウは冷静に見据えた。

「…行け。」

そう言い、ベットから退いた。

僕はボーっとした頭を回転させ、ユウの部屋を後にした。

 

「…クソッ」

ボソっとつぶやき、ユウは頭を抱えベットに突っ伏した。

「…どうしてくれんだ。」

唇を拭い、ぬくもりに手をかけた。

「…んっ…っ」

声を詰める。

闇がすぐそこまで包み込んでいた。