チョコレイト@
『アホンダラ…』
心で呟いたはずだった…
「あ゛??お前誰に向かって口聞いてんだ!!」
すっごい剣幕で近づいてくる。
胸倉を掴まれ、持ち上げられた。
「お前、あそこの店の息子だろ?」
なぜかニヤニヤとした顔つきで話す男。
『だから何ですか?』
嫌味ったらしく言葉を吐いた。
さらにニヤニヤとした男は顔を近づけ言った。
「あんな色のついた店ないよなぁ〜。全部に値段ついてんだろ??」
ケラケラと笑っていた。
その笑いが気に食わなかった。
『そうですよ。…でもあなたじゃ買えなさそうな値段ですけどね。』
鼻で笑うように言い、腕を払った。
「いい気になるんじゃねぇぞ!!女売って儲けて、その金どうしてんだかな…父親にでも聞いてみるんだな!!」
男はバカにされた腹いせのように捨て台詞を言って姿を消した。
『何なんだ…全く。』
俺の名前は友永隼人、18歳だ。
さっきの男が言ってたように、俺の家は女に身体を売らせている遊廓の一つである。
その辺の家より普通に裕福な家庭だ。
俺は自分の家の仕事に興味なんかない。もちろん花魁にも。
花魁たちは魅力的だ。
だからって手は出したりしない。
そりゃぁ〜迫られたら、抵抗しない。
俺の童貞はこいつら花魁に持ってかれた。
「たくっ腹立つ…」
ムカムカしながら、隼人は玄関に向かった。
「ただいま…」
どうせ言ってもみんな店にいる。
俺は深い溜息をついて、自分の部屋に向かった。
なんせ、店と繋がっている。
たまに声が聞こえるって言うのは珍しくない。
「ん…あぁ!!」
……今日は上客か。
この声は彪珠さんかな…。
こんな声、聞き飽きた。
何の変哲もない生活。
いいかげん嫌気が刺していた。
どうにかしたい。
そう隼人は考え、少しの間、目を瞑った。