刀傷

 

6 マーク

 

「はぁ〜…」

溜息を付いたムゲンは首筋を掻いた。

さっきの感触、嫌な予感がする…

 

――バタバタバタッ

 

ムゲンがすごい勢いで風呂場まで行った。

何人かの人を退けて鏡の前に立った。

首筋に目をやると、案の定赤い痕が付いていた。

 

「はぁ〜…あいつ…」

何度目かの溜息を付いて、ムゲンは大股でジンの元へ走った。

 

「おぉ〜まぁ〜えぇ!!!!!!」

ムゲンはジンの胸倉を掴んで叫んだ。

「なんだ?そんなに大声を出さなくても聞こえているが?」

ジンは冷静に言い、ムゲンの手を払った。

 

「コレ!!!!コレ見ろこらぁ〜!!!」

ムゲンは首を傾けて見せ付けるように言った。

 

「何なにぃ〜?何やってんのぉ〜?」

二人の元に何やら食料を抱えたフウが興味深気に近寄ってきた。

 

ムゲンが出している首筋を見据える。

「あぁ〜!!!!!!!あんたいつの間に女連れ込んだのよぉ〜!!」

フウは息を荒げ、指を刺しながら言った。

 

「あ゛ぁ?連れ込んでなんかねぇよ。」

ブスッとしながらムゲンは言った。

こいつのせいで…

 

――チッ

 

小さく舌打ちをしてムゲンはそっぽを向いた。

その拗ねた姿がまた一人の男の心を掴むのをムゲンは気づけずにいた。