刀傷

 

4 煌く狂気

 

「…ぉい。お前なめてんのか?」

寝ていたはずのムゲンが目を瞑りながら低く言った。

 

「別に…なめてなんかいない。」

ジンは何事もなかったかのように布団で身動ぎする。

 

「…」

 

「…」

 

「何したいんだよ!!」

とガバッとムゲンは布団から出た。

 

「別に…」

 

<こいつ、マジわっかんねぇ!!!!

自分から入ってきたのに別にって…おい!!!>

 

ムゲンはイライラしながら、また布団に身を沈めた。

 

「お前…気持ち悪くないか?」

ムゲンが普通に言った。

 

「気持ち悪い…ねぇ…」

 

――カタッ

 

小さな物音の後、二人の男は向かい合った。

間にはそう…刀を挟めて…

 

「やっぱりか。フッみえみえだぜ。」

ムゲンは鼻で笑い刀を愛でる。

ムゲンの顔を映す刀は、狂気ともなんともいえない男らしさを引き立たせた。

 

「俺は別に刀を出す気はなかったが…?」

ジンは自らの刀に目を走らせた。

その先にいる狂気を放った男を見詰め、呟く。

 

「お前……刀下ろせや…。」

ムゲンはジンに向かって言った。

 

分かってないな…。

鼻で笑ってジンは下から覗き見、ムゲンの手首を掴んだ。

 

不意を突かれた行動にムゲンは刀を落とした。

手首を掴まれたまま、壁に押さえられた。