13日の金曜日・B

 

 

我に返ったアレンに抵抗され、先には進めなかった。

そのままその日は何も起きず、夜は更けていった。

 

「おはようございます。」

アレンは不貞腐れたような声を出した。

「おっはようさぁ〜」

その声には気にも止めず、ラビは明るい声を出した。

 

昨日は中途半端に終わり、嫌がるアレンをねじ伏せ一緒に寝ていた。

それはそれはラビにとってはいい夜だったろう。

アレンにとっては最悪の夜だ。

 

アレンとラビがじゃれ合ってる中、着々と何かは近づいていた。

 

「なぁア〜レン。誰も来ないさぁ〜。」

にっこり笑いながら近づくラビ。

嫌な予感がずっしりと身体に圧し掛かる。

「な…なんですか…ラビ…変なこと考えてないですよね…ね!!」

強めに言うアレンを尻目になぜだかソワソワするラビ。

「まだ朝さぁ〜。朝飯食べるさぁ。」

含みを持たせるラビ。

 

しぶしぶご飯を食べた。

その後、ラビの行動に注意を払っていたが、特に変わったことは無かった。

普通に過ごし、普通に昼を食べ、普通に話をした。

そう今までは…

 

 

「…うぅ。…んぁ…やめ…て」

すっかり暗くなった外にぼんやりと浮かぶ窓の光。

窓には、ゆらゆらと揺れる影が二つ映っていた。

「聞こえないさぁ」

ゆっくりとアレンの肩から唇を離し、楽しそうに言った。

「…はぁ。やめてください。」

アレンは息を整え言った。

「やめていいさぁ?これからなのにさぁ」

言い終わらないうちにラビの手はアレンの服を探っていた。

 

夜は良い。

何もかも闇が包んでくれる。

俺がアイツにすることも…

 

ラビの手が背中を擦る。

敏感な肌は粟立つ。

「ん…はぁ。」

息を詰めれば詰めるほど、次の声は甘くなる。

ごめんさぁ〜。でも止まらないんだ。邪魔者がいないから…

心で謝りながらラビはアレンを感じていた。

 

――ユラッ

 

窓の外で何かが揺らめいた。

真っ暗な外。

光輝く部屋の中。

分かるはずは無かったが、何かを感じた。

アクマか…?

 

「どうしたんですか?」

嫌だと言っていたが、突然やめられると戸惑う。

「シィッ…」

唇に人差し指をあてがい、ラビはアレンを制した。

その仕草にまた何かが揺らめいた。

その時…