13日の金曜日・K

 

 

一筋の涙が頬を伝い、花たちに零れ落ちる…

それは光り輝き、闇を切り裂く。

 

空気が一気に張り詰め、神田を震わす。

「た…助けて…くれ…」

神田の意識が飛びそうになる。

その時、ふッと誰かに手を握られた。

その手の主を知る前に神田は意識を手放した。

 

 

どのくらいの時間がたったのだろう。

長い間眠りについた感じがする。

 

目を覚ました神田は目を擦りながらあたりを見渡した。

「あぁ、やっと気づいた。」

と隣に腰を下ろしていたラビが話しかける。

さっきの手はコイツの手か…

「…ありがとう

ボソッと神田は呟いた。

 

ラビには聞こえなかっただろう。

でも、何かを感じラビは微笑んでいた。

 

「ユウ…大丈夫なんさぁ?」

ラビは何でも知っているかのような口ぶりだった。

いつまでも横になっているわけにも行かず、神田は起き上がりラビの隣に腰を下ろした。

「…何がだよ。」

しらばっくれようとした。

 

「何がって…あの花たちだよ…」

ラビは指差した。

指の向こうに目をやるとそこには先ほどの花たちが居た。

 

急激な吐き気に襲われる。

「うぅ…おぇ…ゴホッゴホッ…」

何かを引き出される感覚。

 

「お前に何が出来る?」

またこの声が神田の頭に響き渡った。